Googleサジェスト汚染とは?名誉毀損の裁判で最高裁は公共性を重視

判決

Googleサジェストとは

Googleサジェストとは、Googleの検索入力欄に、検索ワードを入力した場合検索候補が自動的に出力されるワードを言います。

たとえば、「ディズニーランド」と入力すると

  • ディズニーランド ホテル
  • ディズニーランド 天気
  • ディズニーランド チケット
  • ディズニーランド 混雑予想
  • ディズニーランド アトラクション
  • ディズニーランド レストラン

のように、検索ワードと一緒に検索されやすい複合検索ワードを補完してくれる機能です。オートコンプリートとも呼ばれています。

サジェスト汚染とは

サジェスト汚染とは、この検索候補をネガティブワードで意図的に埋め尽くす行為をさします。「詐欺」「つまらない」「つらい」などの、否定的なワードが表示されることで、検索ワードのイメージを落とすことを、サジェスト汚染と呼びます。

例えば、個人名や企業名で検索した時に、サジェスト汚染されていると、会社のブランド価値や個人の名誉が毀損されるといった問題が生じます。

東京高裁のサジェスト汚染に対する判決

「Googleサジェスト汚染」は名誉毀損に当たらない

グーグルの検索サービスで、名前と犯罪を連想させる単語が一緒に表示されるため名誉を傷つけられたとして、日本人男性が米グーグル本社を相手取った訴訟の控訴審で、東京高裁(鈴木健太裁判長)は15日、同社に表示停止と30万円の賠償を命じた1審判決を取り消し、原告側の請求を棄却する判決を言い渡した。

原告の代理人弁護士によると、昨年4月の1審・東京地裁判決は、同社による名誉毀損とプライバシー侵害を認めたが、高裁判決は、「単語だけで男性の名誉が傷つけられたとは言えず、男性が被った不利益は、表示停止でサービス利用者が受ける不利益より大きくはない」などと判断したという。

参考:2014年1月15日日経新聞「グーグルが逆転勝訴 検索予測の表示差し止め、東京高裁で

検索候補を自動的に表示してくれるサジェスト機能。ここに犯罪を連想させるキーワードと個人名が一緒に表示され名誉を傷つけられたとして、日本人男性がGoogleを相手に訴訟を起こし、一審ではGoogleに当該サジェストの表示停止と賠償が命じられましたが、控訴審では棄却されGoogleが逆転勝訴する事件がありました。

高裁の判断はこうでした。

「個人名と特定の単語を自動取得したものを並べるだけでは名誉毀損には当たらない」

日本では、Googleサジェストによって犯罪行為と特定の個人が結び付けられ、名誉を毀損されたとする訴えに対して、差止仮処分が認められた事例がありましたが、東京高裁では、その判決を一転、原告の請求を棄却する判決を言い渡しました。

最高裁でもサジェスト汚染の名誉毀損は認めず

最高裁でも、Googleサジェストの上告を棄却しています。

インターネット検索サイト「グーグル」に表示された犯罪歴削除の仮処分申し立てで、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は2017年1日までに、検索結果の削除を認めない決定をした。

削除の判断で考慮する要素としては、(1)検索結果の性質や内容(2)表示される側の社会的地位や影響力(3)逮捕記事などの意義や掲載時の社会的状況――などを挙げた。決定は1月31日付で裁判官5人の全員一致。

参考外部サイト:日経新聞「最高裁、「グーグル」結果削除は公共性を重視

最高裁は今回の決定に伴い、グーグルやヤフーに関する別の訴訟についても情報削除を求めた4件の上告を退けました。

特にグーグルについては、通常の検索表示とは別に、検索窓に単語を入力する際に関連する字句を自動で補ってくれる「サジェスト(英語名はオートコンプリート)機能」が問題となりました。今回の決定でその訴訟についてもグーグル側の勝訴が確定しました。

参考外部サイト:日経新聞「最高裁グーグル判決が残した4つの課題

よって、個人名と単語を自動取得したものを並べるだけでは名誉毀損に当たらない、という主張を最高裁も認める形となりました。

確かにサジェスト機能そのものは検索者の利便性向上につながっています。

公共性の高い検索エンジンにサジェスト削除を要求するとなると、大変な作業を検索エンジン1社に求めることになって、大きな問題になっていたでしょう。

フランス最高裁のサジェスト汚染に対する判決

「Googleサジェスト汚染」は名誉毀損に当たらない

フランスの最高裁にあたる破毀院が、Googleのサジェスト機能によって名誉を毀損されたという訴えを退けた事例があります。破毀院2013年6月19日判決(625号)

リヨンにある住宅保険会社「Lyonnaise de garantie」。
Google検索で「Lyonnaise de g」と入力すると、詐欺師やペテン師を意味する「escroc」という単語を含む検索候補「lyonnaise de garantie escroc」が表示され、これが名誉毀損にあたるとして、サジェストの削除と損害賠償を求めた裁判です。

パリ控訴院(高裁)は、サジェストによって表示されるキーワードはGoogleが採用しているアルゴリズムの結果であってGoogleの意思が介入しているとして損害賠償を認めましたが、破毀院(最高裁)では、サジェストの表示は自動的で偶然によるものであって、検索補助のための機能以上のものではないとして、控訴院の判断を差し戻しました。

サジェスト汚染に対するGoogleの方針

Googleはサジェストに表示する単語を自動取得とは言いつつも、一定の検閲は行っています。Googleが公序良俗に反すると判断したサジェストはポリシーに基づき対応しています。

参考外部サイト:Google検索ヘルプページ「オートコンプリート ポリシー

裁判によるサジェスト削除は難しくなる傾向に

最高裁判所が、Googleの検索エンジンの「公共性」や「表現の自由」を認めた以上、サジェスト削除を裁判で争うこと自体難しくなってくると考えられます。

一方、Googleも放置しているわけではなく、サジェストに関する「オートコンプリートポリシー」に基づき運用されています。

まずは、Googleサジェスト削除をGoogleへポリシー違反になる場合、削除申請することが重要になります。

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削除申請が通らない場合、システム的な対応で最適化表示していくことも可能ですので、当社に一度ご相談ください。

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